evernote、筆者は2013年頃から使い続けている。
この記事ではevernoteのノート整理方法について、ノートブックを使ったアンチパターンと、逆にノートブックがマッチするパターンを考える。
登場するevrenote用語:ノート、ノートブック、スタック、タグ
ノートブックによるノート整理アンチパターン
筆者はevernoteを使い始めた当初、とにかくあらゆるノートをノートブックで分類していた。
複数のノートが共通する内容を含んでいたら、新たにノートブックを作りノートをそこへまとめる。ノートブックが増えてきたら、さらにスタックで分類する。といった具合だ。使い始めの頃、入ってくる情報の量や種類が少ないうちは、これでも目立った問題は起きなかった。
しかしevernoteに慣れてきて使用範囲を広げると、ノートの量や種類は増え、それに伴い分類を細分化したくなってきた。筆者は「何が正解か分からない」と若干思いながら、ノートブックを追加していった。
その結果、似て非なるノートブックが乱立し、二度とノートが追加されない「死にノートブック」も増えてしまった。「死にノートブック」は筆者の造語である。
こうなるとうまく運用できなくなってくる。一言でいうとカオスと化す。集積している情報がゴミになる瞬間である。
(実際のところevernoteは検索が強力なので、そう簡単には死蔵しないのだが)
具体的な例を考えてみよう。たとえば紙に描いたキャラクターのアイデアラフをevernoteに取り込みたいとする。
このときノートブックが「ラクガキ・ラフ」「アイデア」「取り込んだ紙」とあった場合、どれに入れるのか判断に迷うところだ。ここでは無理やりどれかに入れたとする。すると将来的には、同じような内容のノートが、都度の判断の揺れのために複数のノートブックに散在することになる。この時点で分類としてはかなり破綻気味だと言える。
また、このとき適切なノートブックが存在しないとして、新たに「キャラクターアイデアラフ」のようなノートブックを作ってそこに入れるとする。しかしそれをしてしまうと、前述の通り似て非なるノートブックの乱立が始まり、分類が意味をなさなくなっていく。
ノートブックによる整理方法のアンチパターン
- あらゆる分類をノートブックのみで行う
- 粒度の細かい分類をノートブックによって行う
- 場当たり的に新しい分類項目としてのノートブックを増やす
- 将来的に揺れが生じる可能性のある分類をノートブックで行う
これらはevernoteを使い始めた人にありがちなパターンだと思うのだが、どうだろう。
つまるところ、ノートブックによる分類には多少の「設計」が必要なのだ。それを無計画にやるとカオティックになる。
秩序を取り戻そう。
ノートブックはすぐに厳密になってしまって難しい
なぜアンチパターンのやり方がうまくいかないのか。
それはノートブックがMECEな分類方法だからである。
MECEとは「漏れなくダブりなく」といった意味だ。evernoteの場合、ひとつのノートは必ずどれかのノートブックに属しているし、複数のノートブックに属すことができないので、完全にMECEな分類方法だと言える。
MECEは細かく分類していくと、すぐ厳密になってしまう。厳密な分類は扱いが難しい。そのためむやみにノートブックを増やしたり、細かい分類に用いたりすると、すぐ厳密さに負けて破綻を招いてしまうのだ。
厳密は強力だが、「用法用量に注意」なのだ。
だから、厳密さを局所化するようにノートブックを使うと、扱いやすくなる。つまりアンチパターンの逆になるが、次のようにノートブックを使えば破綻しづらい。
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- 限定的な分類に使う
- 大きな分類に使う
- むやみに新しい分類を増やさない
- 確定的な分類にのみ使う
失敗したパターンでは、細かい分類にノートブックを持ち込んだため破綻してしまった。また、MECEな分類は場当たり的に分類項目を増やしていいものではないのに、思いつきでノートブックを増やしてしまっていた。
やってみて分かるアンチパターンである。
ノートブックがうまくいくパターン
逆に、ノートブックを使うことでうまく機能する分類法もある。一言でいうと、その分類項目を他から「隔離」すると都合が良い場合は、ノートブックがうまく機能しやすい。
ひとつの例としては、仕事とプライベートの隔離だ。
筆者は仕事とプライベートで同じevetnoteアカウントを使っているが、仕事用のノートをプライベートな場面で使うことはない。
そこで仕事で使うノートは、全て「仕事ノートブック」に入れるようにした。これはevernoteを使い始めた頃から採用しているが、うまく機能しているのでそのまま使い続けている。
もうひとつ筆者が実際に行っている例では、観たものや読んだもの、日記といった1つのトピックに関する記録を、それぞれ専用のノートブックにまとめていることだ。これもいまのところうまく機能している。
あとはinboxもノートブックで分類すべきものの代表だろう。
evernoteではタグによる分類が、破綻や矛盾に耐性がある
ではノートブックが使えるパターン以外の、基本的な分類はどうすればいいのか…というところで、この本と出会った。
知的生活の設計/堀正岳(紙の本)
記事が長くなってしまったので、筆者が実際に今行っている分類法についてはこちらの本の助けも借りつつ今度の記事で書きたい。
先にどんな分類法か簡単に触れておくと、使い方が確立しているノートブックはそのままノートブックとして運用して、それ以外はタグによるゆるやかな分類に切り替えた。まだカオティックな部分は残っているものの、2020年2月現在はこれでうまく回っている。
次回記事はいつ書くか分からないが、タグによる分類方法については『知的生活の設計』を読めば分かると思う。というか柴太の記事を読むより分かりやすい。「34 情報をゆるやかにまとめるハッシュタグ整理法」の項目である。
該当項目の分量は4ページだが、evernoteの整理方法について考えている人にとってこの『知的生活の設計』はヒントになるように思う。筆者は大いに参考になった。
まとめ
ノートブックによる分類方法のアンチパターンを紹介し、その理由としてノートブックはMECEであるため厳密になりやすく、破綻や矛盾が生じやすいことを述べた。
ただし単一テーマの情報集積にはノートブックはうまく使える。ノートブックによる分類は「隔離」であると考えると扱いやすいことに触れた。
またevernoteの基本の整理においては、タグを使ってノートブックよりもゆるい方法で分類するとうまくいきやすい。(次回記事)
アンチパターンなどと言ってみたが、失敗してもやり直せば済むのがデジタルツールのよいところである。いろんな分類方法を試して、自分の用途に合った整理法を探すのも良いと思う。
人生のアンチパターンを踏みまくってる柴太
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